資本主義って何だ!?(2)~政府債務対GDP比と経済成長~

記事一覧

 なぜ、日本の財政はこれほどまでに問題視されているのか。

おそらく、「政府の債務残高が多すぎるのではないか」という懸念が強いからだろう。確かに、「国民一人当たり~万円の借金」とか、「1000兆円突破」とか言われると誰だってビビる。そして実際に、日本の政府債務とGDPを比較した統計では、破綻したギリシャを抜き堂々の№1である。そりゃ前回の記事みたいに「日本は財政赤字が少なすぎる」と言われても納得しない人も出てくるに決まってる。

しかし、その政府債務がGDP比較で増大している原因は、よくニュースで聞くような、社会保障費の増加や、政府の無駄遣いのせいではない。いや、本当に断言していい。全く別のところにその原因がある。そしてその原因こそが、日本経済が抱える唯一の異常性なのだ。

スポンサーリンク

政府債務対GDP比の国際比較

 政府の借金の多さを強調する指標のひとつに「政府累積債務対GDP比」という指標がある。この指標は読んで字のごとく、政府の債務残高とその国の経済規模を比較した統計である。具体的には「累積債務÷名目GDP」であらわされる。分子が累積債務で、分母が名目GDPだ。

ではまず、「政府累積債務対GDP比」の推移を他国と比較してみていきたい。次のグラフは、1991年の累積債務を100として、その後各国の累積債務がどれほど増加したかを表したものである。ちなみに、アメリカについては2000年以前の累積債務のデータが見つからなかったので含めていない。

資料:世界経済のネタ帳(出典:IMF – World Economic Outlook Databases (2017年10月版))

このデータを見ると、日本の政府累積債務対GDP比の伸びがすさまじいことになっているのがよくわかる。1991年比較では、2017年時点で3.5倍以上となっている。特に90年代後半の伸びが大きい。

また、イギリス、フランス、そして破綻したギリシャも、2008年のリーマンショック以降は、日本に負けず劣らずかなりの伸びを示している。

一方、ドイツはその反対に値が小さくなってきており、世界でも有数の健全財政と言われる所以がここにあることが見て取れる。

では、このグラフをもう少し細かく分析してみたい。日本や他国の値が上昇している原因が、何にあるのか。あくまでこれは政府累積債務を名目GDPで割った値である。上昇の原因は、分子の累積債務の伸びが大きいからか、もしくは分母の名目GDPの伸び率が小さいからか、あるいはその両方かの、3パターンが考えられるからだ。

「政府債務」か「GDP」か

まず、先ほどのグラフから抜粋し、分子の政府累積債務のみで比較してみた。それが次のグラフである。

資料:世界経済のネタ帳(出典:IMF – World Economic Outlook Databases (2017年10月版))

ん?

日本全然伸びてないぞ・・・?

ドイツとあんまり変わらない。

ということはつまり・・・

資料:世界経済のネタ帳(出典:IMF – World Economic Outlook Databases (2017年10月版))

はいそうです、どう見ても分母の方です。本当にありがとうございました

日本の政府累積債務対GDP比の異常な伸びは、分母の名目GDPが伸びていないことが原因なのだ。このグラフを見ると、日本だけGDPが超低空飛行を続けているというより、ひたすら滑走路を走り続けているかのようだ。

つまり、「経済規模と比較して政府の借金が伸びすぎている」というのは正しくても、単純に「政府の借金が増えすぎている」というのは的外れといえる。むしろ、それを言うなら「日本はGDPが伸びていない」という方を強調すべきである。

ちなみに、この政府債務は、単に「世間的に問題視されている」から取り上げているだけで、前回の記事「日本が絶対に財政破綻しない理由」でも述べたように、仮にこの値が10倍になったとしても、外貨債を発行しない限り財政破綻はしない。その上で、政府債務拡大の原因も、決して政府の放漫財政の結果ではないということだ。いや、むしろその点では、日本政府はドイツ並みに切り詰めて頑張っていると考えていいだろう。

ではなぜ、日本のGDPはこれほどまでに停滞しているのだろうか。それを理解するには、そもそも「GDPとは何か」を理解する必要がある。

GDP(国内総生産)

 「GDP(Gross Domestic Product)」は、和訳すると「国内総生産」である。

これは、その国の経済規模を表す最も信頼のおける指標として用いられる。何故信頼されているのかというと、いわゆる「実体経済」という概念とGDP統計の概念が完全に合致しているからだ(そもそも、実体経済を数値化するために作られたようなものだ)。

では、実体経済、あるいはGDP統計とは具体的に何なのか。

ざっくりいえば、その年(あるいはその四半期など)に、国内で生産されたモノやサービスがどれほど需要され、お金により取引されたかを示している。「総生産」とは言いつつも、実際にはお金で取引された分しかカウントしていない。なぜなら、お金で取引された物以外は、市場(しじょう)において価値がないと判断されているはずからだ。そもそも、取引されていないのでカウントしようがないという理由もあるだろう。いずれにせよ、国内においてお金で取引されるほどの価値があるものを、どれだけ生産したのかが、実体経済の概念であり、GDP統計なのだ。

しかし、単純にモノやサービスの取引額を合計してしまうと、各企業や事業主などが売り上げた金額と、原材料の仕入や原価がダブってカウントされることになってしまう。なので、それぞれの売上額から仕入額などを差し引き、合計している。つまり、それぞれの売り手の取り分だけをカウントしているのだ。そしてこの差し引いた売り手の取り分を、よく耳にする「付加価値」と呼ぶことになっている。「付加価値」と聞くと難しそうに感じるかもしれないが、実際にはこうした統計上のダブりをなくすための概念と考えていい。

一方、「お金で取引された」ということは、必ずその分誰かがお金を支払っていることになる。したがってGDPの総額は、その国の法人や個人、政府の支出総額に依存する。そしてそれらの支出総額から、貿易の輸入を差し引き、輸出を加えた金額が、GDPの総額と一致することになる。これを「Gross Domestic Expenditure(国内総支出)」と呼ぶ。

その反対に、お金を受け取る側は、法人であれ個人であれ、必ず収入としてお金を受け取る(分配されるという)ことになる。つまり、支出されたお金は、法人や個人など、必ず誰かの所得になっている。なのでGDE(国内総支出)はその国の所得総額と一致する(と解釈する)。そしてこの概念を「Gross Domestic Income(国内総所得)」と呼ぶ。

したがってこれら「GDP(国内総生産)」、「GDE(国内総支出)」、「GDI(国内総所得)」の総額は必ず一致する(というより、一致するように計算される)。ただし、三つとも同じ数字なので、通常は三つひっくるめて「GDP」と呼んでしまう。

ここで重要なのが、「GDI(国内総所得)」において、政府に分配されるのは基本的に税収であるということだ。当たり前だが、政府には本来所得は無い。したがって「税金」という形で、民間の分け前(国民総所得)から強制的に政府の分け前を徴収している。固定資産税や自動車税などの資産課税は例外とされるが、実際にそれらを支払ってでも資産を保有し続けるかどうかは所得の影響を受けるはずだから、それらも間接的にGDIに依存すると考えていいだろう。いずれにせよ、こうして実体経済(GDP≡GDE≡GDI)と国家財政は密接に関係している。

しかし、このGDP統計は、実は三種類ある。基本的には今まで述べたGDPの考え方と同じなのだが、三つとも重要なのでこれらもきちんと理解する必要がある。

スポンサーリンク

名目GDPと実質GDP

 これまで、政府累積債務との比較に用いたのは「名目GDP」と呼ばれる指標だ。名目GDPとは、単純にその年の付加価値を総計した額だ。なので統計数字としてはも信頼のおける指標である。しかし、実体経済を表す概念としては不完全なのだ。一体どういうことのなのか、あるモノを参考にしながら考えてみたい。

 例えば、乃木坂46のCD付き握手券じゃなかった、握手券付きCD(シングル)が1500円で販売されていたとする。そのうちディスクやケースなどの原価が500円だと仮定すると、残りの1000円が秋元康の懐に入る売り手の取り分(付加価値)となる。

しかし、次のニューシングルが、原価が変わらないにもかかわらず、2000円に値上がりしたとする。それでも、熱狂的なファンが大勢いるおかげで売上枚数が変わらなかったとすると、売上総額はその分増えることになる。ところが、握手券付きCDという商品の価値は、本来は変わらないはずだ。これはただ単に秋元康の欲望が猛威を振るった売り手が値上げしただけであり、CDそのものの生産は増えていないのだ。

したがってそうした場合には、価格を前回のシングル価格に当てはめて計測し、値上がり分を差っ引いて売上総額を計算する。こうして得られた実質的な付加価値の合計を実質GDPと呼ぶ。

つまり、名目GDPから、同じもの(とされるもの)の価格変動を差し引いて、本当のモノやサービスの取引がどれほど変化したかを推計するのが実質GDPなのである。言い換えれば、名目GDPは「付加価値の総額をはかるGDP」であり、実質GDPが「付加価値の総量をはかるGDP」だということだ。

もし仮に、総額の方を実体経済と定義してしまうと、生産量に関係なく、インフレーションやデフレーションの影響をもろに受けた数値になってしまう。なので、本来の実体経済の概念に適合しない。ということで、より実体経済を的確に表す統計として、付加価値の「総量」である、実質GDPが重視される。

一方、財政収支や累積債務との関係を考える上で重要なのは、あくまで総額の方だ。当たり前だが、積みあがった借金に物価変動はない。もうすでに確定した金額である。あるいは、税金もモノではなく、お金で納めることになっている。なので、実質的なモノやサービスの統計よりも、物価変動を含めた名目GDPの方が関係性としては重要だ。

実質GDP統計の問題点

 実質GDPの統計には大きな問題点がある。それは、本当は計測できないGDPだからだ。「物価の変動」といっても、毎年全く同じものを生産しているとは限らない。むしろ、どんなモノやサービスでも、必ずといっていいほど変化がある。

この現象を、先ほどと同じように、乃木坂のCDで考えてみることにする(異論は認めない)。

先ほどの1500円の販売価格の内、500円がディスクやケースの原価であると述べた。しかし本当は握手券も含まれているため、「アイドルと握手できるというサービス」にかかる経費もそこに含まれているはずだ。なので、事実上の取り分は、そのシングルの売上額からディスクとケース、さらに握手会を開催するための会場利用料などの経費が差っ引かれた額と考えることができる。

しかし、次のニューシングルで、握手会でアイドルと握手できる時間が短くなったり、握手できる客をさらに抽選で選ばれた人に制限する方式が採用されたとする。そしてCDの販売価格も変わらず、それでも売上枚数が変わらなかったと仮定してみる。すると、そのCDの価格のうち、握手会にかかる経費は、借りる会場の規模の縮小や借用期間の短縮などで圧縮され、秋元康の口座が潤う売り手の取り分が増えることになる。しかしこれではCDの生産量に変化がなかったとしても、生産するモノの価値が本当は変化している(下がっている)はずであり、よくよく考えれば実質的な値上げである。

逆に、価格が変わらず、握手券で握手できる時間が長くなったり、CDに付いている乃木坂の握手券に加え、さらに欅坂46の握手券志田愛佳が在籍しているグループのことである)も一緒になって販売されることになったとしよう。それでも売上枚数が変わらない場合は、売上額は変わらなくても、握手会にかかる経費だけがその分増えることとなり、売り手の取り分は減少する。これも同じように、生産するものの価値は変化している(上がっている)はずであり、よくよく考えれば実質的な値下げである。

しかし、実態は、CDの単価に握手会開催の経費は含まれていないため、こうした実質的な付加価値の増減は価格の変動にカウントできない

このように、微妙なモノやサービスの価値の変化まで、一つ一つ、つぶさに統計へ反映させるのは極めて困難なため、実質GDP統計というのは、あくまでその概念と照らし合わせれば推計値でしかないのだ。

そう考えると、「実質GDP統計に何の意味があるのか」と思われる方もいるかもしれない。たしかに、この統計自体にはさほど大きな意味はないにせよ、概念は重要である。それは、もう一つのGDPと実質GDPとの関係が、名目GDPの成長を左右するからである。

潜在GDPの概念

 残るもう一つのGDPが「潜在GDP」である。

潜在GDPとは、その国の、全てのインフラ、施設、設備、機材、システム、人(労働力)等々、モノやサービスを生産するためのすべての要素がフル稼働した場合に生産され得る(と考えられる)付加価値の合計である。要するに、今この時点で生産可能な、MAXのGDPのことである。

世の中には、常に、活用されていないインフラや施設、稼働していない設備や機材、システム、そして働いていない人(失業者、ニートなど)等が存在する。なので実際のGDP(実質GDP)には、その生産能力の余力が含まれていない。言い換えれば、その余力と実質GDPを合計した額が、潜在GDPであるといえる。

しかし、薄々気づいている方もいるかもしれないが、そんなものは計測不可能だ。常に変化し続けているうえに、それらをどう解釈し把握すべきかも、実際のところ経済学者ですらよくわかってない。つまり、あくまで概念上の話でしかない

一応、政府も潜在GDPの推計を定期的に発表し、それに基づいて経済政策を打ち出している。しかし、はっきり言って出鱈目もいいところだろう。机上の空論に空論を重ね、ありとあらゆる仮定を計算式に当てはめて、ようやくはじき出される数値である。そして計算方法も世界中でコロコロ変わっている。なので、政府が発表する潜在GDPの数値には、実際は意味がないと考えてもらって構わない。しかし、概念は極めて重要だ。

何故重要なのか、例によってアレで考えてみたい。

潜在GDPと実質GDPの関係

 例えば、乃木坂46や欅坂46の人気が今以上に過熱し、握手券付きCDが飛ぶように売れたとしよう。しかし、売れすぎて握手会にファンが殺到、大混雑に見舞われ、その結果アイドルの女の子たちの体力が限界に達したとする。

その場合、アイドルグループを運営する握手会の主催者が、その対策として取りうる手段は以下の3つだ。

①CDの価格を上げ、握手会サービスという付加価値の「量」に対する需要の増加を食い止める

②新たなアイドルグループを発足させ、アイドルメンバーの人員を増やす

③IT企業に発注し、人気メンバーをこっそりAIロボットに置き換え、本人たちの労力を減らす

この3つが考えられる(③はご愛嬌)。

ではこの一連の流れを、GDPの概念にそって考えてみたい。

まず、握手券付きCDの売り上げは、CDの楽曲と握手会というサービスを生産した対価であると考えられる。なので、CDの売上から原価や握手会の諸経費を差し引いた額が生産された付加価値であり、その合計額は実質GDPの概念に含まれることになる。

次に、人気が爆発することにより、この段階で握手会というサービスの生産能力がひっ迫したということになる。したがって、生産能力の限界を超えつつある状態だということだ。つまり、ここでいう「アイドルの体力」は潜在GDPの概念に含まれることになる。つまり、実質GDPが潜在GDPに近づいてきているプロセスと考えられる。

では、その対応策として挙げた①~③は具体的にどういった経済現象と考えられるか。

まず、①「価格を上げる」は、そのまま物価水準の上昇、すなわちインフレーションが発生するプロセスと考えることが可能だ。

続いて、②「人員を増やす」ということは、人が新たに雇用されることになるわけだから、失業率の低下をもたらすプロセスと考えられるだろう。

最後に、③「AIロボットに働かせて労力を減らす」は、一人当たり(あるいは時間当たり)の労働量と比較した生産量、つまり、「人間の労力」当たりの生産量の増大をもたらすことになる。したがって③は労働生産性が向上するプロセスと考えられる。

以上をまとめると次のようになる。

●実質GDPが潜在GDPに接近

その結果・・・

①⇒インフレーションの発生

②⇒失業率の低下

③⇒労働生産性の向上

が発生するということである。

経済成長のメカニズム

 ではさらに、上記のプロセスを経済全体に置き換えて考えてみる。すると、次のように考えることができる。

まず、「①⇒インフレの発生」は、実質GDPの上昇に加えて、価格の上昇が発生するわけだから、付加価値の総額、すなわち名目GDPの成長をもたらすことになる。

次に、「②⇒失業率の低下」が継続した場合は、労働市場に新たに雇える人材が枯渇してゆくことになる。つまり、人手不足の発生だ。すると、他の企業や事業者(この例の場合、他のアイドルグループ)から人材を引き抜くといった手段がとられるようになる。結果、人材の奪い合いとなり、従業員(アイドルたち)の給与の引き上げ合戦も同時に発生する。すなわち、②は最終的には賃金水準が上昇するプロセスであるとも考えられる。

そして、「③⇒労働生産性の向上」についていえば、元々あったアイドルたちの握手会サービスの生産能力をさらに押し上げる手段であり、そもそもの生産の限界を超えて生産しようという試みである。したがって③は潜在GDPの成長をもたらすことになるといえる。

これらをさらにまとめると、

●実質GDPが潜在GDPに接近

その結果・・・

①⇒インフレーションの発生⇒名目GDPの成長

②⇒失業率の低下⇒賃金水準の上昇

③⇒労働生産性の向上⇒潜在GDPの成長

と考えることができる。

また、実際に①~③のどの対応策を採用するのかは、各産業、各企業、各事業主によって異なるだろう。したがって自由主義経済の場合、国内経済全体で実質GDPが潜在GDPに接近するようになると、①と②と③すべてが同時に発生すると考えるのが妥当だ。

しかし、一つ疑問が残るだろう。ここまでの説明で、一つだけ触れていないプロセスがある。それは、実質GDPが潜在GDPへ接近する、つまり、実質GDPの成長そのものが、そもそも何によってもたらされるのかという点だ。

そして実は、この点の解釈の違いが、まともな経済学者とポン○ツ経済学者の主張の分岐点になるのだ。

『有効需要』

 上記のアイドル産業の例でいえば、「人気が過熱し、CDが飛ぶように売れる」という現象が実質GDPの成長そのものであるといえるだろう。「人気が過熱し、CDが飛ぶように売れる」ということは、握手会サービスとCD楽曲に対する需要が増大していったということだ。なので、実質GDPの増大は、需要の増大によってもたらされるということになる。

ではどのようにして需要は増えるのか・・・。

考えられるのは、秋元康の天才的なビジネスセンス、そして乃木坂・欅坂のアイドルとしての質が高いという点だ。

それまで、アイドルというのは遠い存在であった。しかし、「会いに行けるアイドル」というコンセプトの下、「握手会」というシステムを導入することにより、アイドル業界に革命を起こし、低迷する音楽業界にも風穴を開けたといえる。

さらに、彼女たちのルックスは他の追随を許さず、どことなく漂う育ちの良さや繊細さも魅力的だ。

これらが各メディアを通じて徐々に認知されてゆくことにより、消費者の新たな需要を掘り起こしたのである。こうして需要が増大することで、経済が成長してゆく・・・

と、考えるのがポン○ツ経済学者である。

もちろん、現実は違う

確かに、秋元康は天才だろう。アイドルの女の子たちもすごく綺麗で魅力的だ。しかし、それで「需要を掘り起こした」のだとしても、それだけでは経済全体からすると意味がない。

CDを購入するだけでアイドルと握手できるという「特典」は、実質的にCDという商品の付加価値を高めていることになる。すると、消費者からすれば、他のアイドルやミュージシャンのCDに比べ「割安感」が大きくなる。一方、その反対に「割高」となったCDは売れなくなり、それによってエンターテイメント業界全体の売り上げが縮小したとする。すると、その縮小幅によっては、実質GDPが増えていない可能性があるのだ。

さらに視野を広げ、例えば、少しでも長く握手したいファンが、一人で大量にCDを購入した結果、予定していた車の購入などの大型出費を諦めたり、CD発売以降の生活費を切り詰めたりしたとする。その場合も、支出削減の規模によっては、経済全体では実質GDPが増えていない可能性がある

したがって、経済全体の実質GDPの成長をもたらすような需要は、売り手が掘り起こした個別の商品などに対する需要ではなく、経済全体の総需要、言い換えれば、オールジャンルの全ての支出総額(総量)ということになる。そしてその需要は国民一人一人の所得の多寡に依存することになるだろう。

この支出を伴う需要のことを「有効需要」と呼ぶ。

これをGDP統計に当てはめれば、「国内の有効需要を国内の生産で賄った総額」と、「海外の有効需要を国内の生産で賄った総額(輸出総額)」の合計がGDE(国内総支出)であり、GDPそのものと考えることができる。逆に、「国内の有効需要を海外の生産で賄った総額」が輸入総額となる。要するに、名目GDPも、潜在GDPも、実質GDPも、それらの成長率は、すべて国内外の有効需要の増減に依存するといえるのだ。

したがって、日本の政府債務対GDP比が上昇しているのは、有効需要が増えていないことが原因だと結論付けることができる。

そして重要なのは、有効需要というのはあくまでお金を伴う需要だという点である。

私のように、夢の中だけで握手会に参加し、Youtubeで彼女たちを見ながらニヤニヤしているだけのムッツリスケベの需要は「無効需要」と呼んでいいかもしれない(?)。その反対に、実際にCDを購入し、コンサートチケットを買い求め、握手会にも参加するガッツリスケベの需要を有効需要と呼ぶのである。

なので、有効需要が増大するプロセスを理解するためには、「お金」についてより理解を深める必要があるだろう。そしてそこには、資本主義経済における金融の魔法」とも呼べるからくりがあるのだ。

次回はその点を踏まえ、「資本主義経済とは何か」の本質に迫っていきたい。


欅坂46 志田愛佳 生写真 U18 cool 4種 フルコンプ

スポンサーリンク